岩手県の工務店が全国より可能性を持っている理由

あまりにも少なくて驚いていることがあります。岩手県での住宅模型とアプリの活用事例です。全国の中でも東北の活用事例は少ないのですが、岩手県は突出して少ないように感じます。現に、模型職人歴25年超で岩手県から模型の依頼を頂いたのは2回(住宅だけでも25年で3000棟近くの実績はあります)だけです。

そこで、今回はそんな岩手県の工務店に届いて欲しいお話をします。住宅模型のメリットとデメリットです。アプリと工務店の親和性も加味した時の可能性を知ると、家づくりに取り入れずにいられなくなります。

白い模型とは?

住宅展示場でよく見る模型は完成模型です。フルカラーで製作に数週間掛かります。対して、白い模型は検討用によく用いられる簡易模型です。1日で作ることもよくあります。

上記の模型は比較的細かいものも多いのですが、スケールはS=1/100~50が大半。作る時に寸法を変換しやすいのでよく用いられます。この白い模型が、なぜか岩手県ではほとんど作られません。その理由を移住して4年半のtecoがまとめました。

模型のデメリット

最初に白い模型のデメリットをお話します。ただし、今回は岩手県に向けてですので、一般的なデメリットとは違います。首都圏に至っては特に違いますので気をつけてください。地方に移住して副業する場合は以下の内容に注意が必要です。

材料がない

私が岩手県に来て最初に驚いたのが、材料を扱う店舗がないことでした。メイン材料であるスチレンボードが県庁所在地である盛岡市ですら1店舗しか常備していないのです。今時、ネットで購入できますが、他にも、プラ棒、カラーの紙、30度カッターの刃までも見つけるのに苦労します。

そうなると、工務店としても作りたい時に材料が見つからず諦めてしまいますし、模型職人が岩手県内に全くいない(岩手県で誰一人会ったことがない)のもそういうわけです。

教材がない

模型の作り方を学びたい時、都心では建築家倶楽部など、大手企業が主催する団体などで模型講座を開催したり、模型職人や模型会社による講座も見つけることができます。ところが、東北はそもそも模型職人も少なく、全国に比べて活用率が低いため、講座を探してもほぼ皆無です。もちろん、ネットでの通信講座は今も存在していますが、その質の低さは何年経っても改善されません。斡旋めいたことをする違法行為も昔ほどではないと思いますが、ないとは言い切れません。

結果、Youtubeなどの動画を参考に学ぶことになります。tecoが運営するmokeruto.jpに格納している動画も、元々はYoutube用に撮った古い動画です。それ以外の情報が少ないということもあります。現在はyoutube.com/@teco_storyで徐々に最新動画を増やしています。

時間が掛かる

間違った認識を持たれるのですが、「3Dプリントなら一発だよね」というのは嘘です。3Dプリンター製の模型も完成まで時間が掛かるものです。3Dデータを作り、プリントし、仕上げをすると手作りの模型と大差ないほどの時間が掛かります。しかも価格は手作りより高額。3Dプリンターのメリットは、同じものを複数回作れること。でも、同じ住宅というのは規格が統一されていても、基本的に形状はすべて違ってきます。要するに、中小企業にはメリットが小さいということです。

ですが、手作り模型の場合は、効率の良い作り方を知っていると早く作れます。先程も製作1日と書きましたが、正確には毎回3~5時間程度で製作している年間契約のお取引先工務店も存在します。通信講座の質の低さは、この作り方に問題があり、倍以上時間が掛かってしまうような酷い内容を教材にしているのです。

模型のメリット

メリットは全国共通です。どの地域でもその恩恵をもたらします。白い模型なら、スチレンボードさえ入手できれば立体化でき、色や素材の想像を膨らますとても良いツールになります。さらに以下のメリットも大きい事がわかっています。

子供たちにも分かる

実は、「子供たちにも分かる」というのが最も大きなメリットです。模型職人歴25年。その間、こどもイベントも複数回経験しています。

例えば、建築士が打ち合わせのテーブルの上に模型を置いた時の家族の反応。図面だけの場合と雲泥の差があります。建築士を放っておいて家族会議が始まるんです。例えば、家づくりの予定がない家族が、イベントで模型と触れ合う機会に家族同士で話す内容。「家づくりをしたくなった」「子どもの住まいに対する気持ちが聞けて良かった」など、心境の変化もはっきり現れます。

設計ミスが見つかる

ある意味「あるある」なのですが、模型を作って気づいたミスは結構な頻度で聞きますし、tecoが製作している最中にも見つけます

例えば、梁の位置を間違えたのか、階段の途中にあったために頭を下げなければ昇り降りできないというミス。例えば、複雑なプランのために屋根も複雑に図面化したので模型にしてみたところ、矛盾だらけで成立せず、一から屋根形状を作り変えた。そんなお話が山のようにあります。

クレームが激減する

設計ミスが見つかるとクレームも減るということは、すぐにご理解いただけると思います。実はもう一つ、クレームが減る理由があります。施主や家族が建物の形状を理解できたからです。一般的に図面とパースで空間を間違いなく理解することは困難です。「こんな作りじゃないはずだ!」と、認識の違いが生じ、施工中のトラブルへと発展するのです。模型ならそんな事はほとんど起きません。子供たちも一瞬で理解できる立体物だからこそ、クレームを減らすことができるのです。

成約率100%

最後に極端な例です。ある設計事務所さんがわざわざ計算して教えてくれました。模型を使わなかった年の成約率36%に対して、模型を使った年は100%契約できたというお話です。他の事務所さんでも、年間契約件数は倍以上になったと教えてくれました。もちろん、どちらもtecoの模型を取り入れてからです。極端ではありますが、そんな事例があり、だから、コンペともなると模型製作は必須になるんです。

アプリのデメリット

アプリのデメリットと言われて最も大きいのはタイパとコスパかもしれません。一般的に認知されているフルスクラッチ(完全に一から開発)アプリの開発は見積もれば1000万円、納品まで1年なんてこともあります。実際、建築模型のコミュニティを作ろうと4社に見積もった結果、200~1200万円、3ヶ月~半年という結果でした。もちろん発注などしませんし、これがきっかけで作った自作のコミュニティアプリは、2ヶ月で完成し4万円(理由はメリットをチェック)の出費で済んでいます。

中小工務店どころか、大手でも慎重にならざるを得ない期間と金額が掛かります。運用してすぐにペイできれば良いのですが、アプリがダウンロードされたとしても、すぐに削除されてしまえば何の意味もありません。

アプリのメリット

そんなアプリも、ノーコードで開発すれば全く違う結果を生むことが可能です。ノーコードとは、プログラミングの知識がなくてもアプリ開発できる仕組みやツールのことで、例えば、業務アプリで有名なkintoneや、ブログやサイト作成で有名なWordPressもその一つです。

もし、ノーコード開発で簡単なアプリを作れれば、外注する必要もなく、予算も100分の1に抑えられる場合もあります。kintoneのような社内用アプリだけに限らず社外に向けたアプリも開発可能で、最短、開発1時間でテスト公開できます。

まとめ

最近、アプリと模型の相性が良いと分かり、少しずつ地域に貢献できる形を作り出せるようになってきました。岩手県の工務店の方々には、ぜひ、このメリットとデメリットを参考に、地域のご家族とつながれるツールの開発にチャレンジしていただきたいと思います。特に模型についてはメリットとデメリットが均衡しているように映る方もいらっしゃると思います。その場合は、一度導入して検証してみましょう。ノーコードで開発したアプリも全く同様に”試してみる”のが大切です。

tecoが手掛けるのは、模型製作、アプリ開発だけではありません。内製化に向けた模型製作レクチャーも、アプリ開発レクチャーも可能ですし、模型とアプリに限らず、住宅資産の利活用の提案もしています。課題を解決するためのツール活用方法を、気軽にZOOMミーテイングでみつけましょう。

最後に、岩手県の工務店が全国より可能性を持っている理由は、悪く言えば”全国より出遅れている”、良く言えば”良いと分かっているツールを取り入れられる”分、県内で先に導入した工務店がかなり有利。特に、アプリを自社開発している工務店は全国でもまだ大手くらいです。小さな変化を導入することで、家づくりへの注力具合も大きくアップするかもしれません。